2020年10月 蝶ヶ岳登山
北アルプスの蝶ヶ岳に登ってきました。
コロナ禍で完全に予定の狂った今年の登山でしたが、
コロナウイルスの猛威もひと段落し、goto トラベルで人々が動き出したので
今シーズン最後の北アルプスに行ってきました。
本当は9月の連休前後に表銀座縦走からの槍ヶ岳登山にも誘われていましたが
家庭の事情でやむなくキャンセルに・・・
登山の強度としてはかなり落ちますが、単独のテント泊で蝶ヶ岳に登ることにしました。
【1日目 前半】
【AM6:40 三俣登山口 第一駐車場】
駐車場には6時に到着したが、第一駐車場は既に満車。
少し下った第二駐車場も埋まりかけていたが、何とか停められた。
晴れ予報の週末なので流石に登山者が多そうだ。
【AM7:20 三俣登山口】
駐車場から20分ほどで、蝶ヶ岳の登山口に到着。
ここで登山届を提出する。
今回の計画は1日目に蝶ヶ岳。2日目は常念岳まで縦走する計画にしていたが、
念のため登山届のエスケープルート欄には
2日目は常念岳を経由せず、三俣に下りる旨を記載した。
登山道はしばらくは沢沿いの道を進む。
天気は曇りだが、暑くもなく寒くもなく、まずまずの登山日和。
この行程で最後の水場。
登山口からここまでわずか20分だが、何だか今日は身体が重い・・・
たしかに9月に地元・四国の剣山に登ってからは、運動も何もしていない。
おまけに四国からの長時間の運転が堪えたのか、首から肩が張って痛い・・・
出だしから体調的に不安だが、力水を飲んで先へ進む。
【AM7:50 ゴジラみたいな木】
登山口から1km。
蝶ヶ岳登山の名物「ゴジラみたいな木」に到着。
どちらかと言うと、ゴジラというより
ジェラシックパークのティラノサウルスっていう風貌。
それでも自然の木の造形と、人が積んだ石だけで恐竜に見えるから不思議。
ちなみに裏側はこんな形になっている。
私的にはマンモスに見えるが、どうでしょうか?(笑)
【AM8:50 まめうち平 到着】
登山口からちょうど1時間半で最初の休憩ポイント、まめうち平に到着。
ここで補給食を摂って、少し休憩。
身体も温まってきたのか、体の調子の悪さも気にならなくなってきた。
登山も中間地点を過ぎた頃に、眺望が開ける。
この辺りから紅葉が進んでいた。
紅葉した木々の間から、常念岳が見えた。
「常念岳まで案外と近いな!」
綺麗な景色に、明日は常念岳まで行く気満々である。
ところが、ここら辺から急に斜度が上がるんですよね・・・
斜度は急だが、登山道はとても整備されている。
登山口から山頂までは、ほぼ全般に階段が設置されていて登りやすい。
しかも、「どんだけ手間掛かっているの?」っていうぐらいの綺麗な階段。
他の登山者達も後ろから、どんどんと登ってくる。
皆さん一様にキツそうだけど、こっちもかなりキツイ・・・
何とか立ち止まらずに前へ歩を進める。
眼下には安曇野の町が見えた。
【AM11:40 大滝山 分岐】
ここまで来ると、視界も開けて気持ちいい。
階段地獄(笑)もやっと終わり、山頂まではもう少しだろう。
完全に稜線に出ると、正面に常念岳が見えた。
【PM12:00 蝶ヶ岳山頂 到着】
蝶ヶ岳山頂 標高2677m
登山口から6.4km。ちょうど4時間半で到着。
蝶ヶ岳も、親に連れられて小学生の時に一度登っているはずだが、
なぜかその時の記憶が全くない。
確かに槍ヶ岳や奥穂高岳などに比べると、山頂はなだらかな丘のような形。
登山道からも全く山容が見えず、常念岳や燕岳のような「これが蝶ヶ岳だ」という特徴が無い。
蝶ヶ岳が、日本百名山どころか三百名山にも数えられていないのは、その為だろうか?
それでも、この蝶ヶ岳が登山者にとって人気があるのは
この眺望があるからだ。
目の前に、穂高連峰と槍ヶ岳が見渡せる。
槍・穂高の展望台として、これほどの場所は無いだろう。
この日はここでテントを張って泊まれる、最高の贅沢。
時刻もまだ、正午をまわったところだ。
「まず、テント張らなきゃね」
蝶ヶ岳ヒュッテ テント場
【1日目 後半】
山頂で記念撮影を終えたあとは早速、テントの設営に取り掛かる。
山頂へ向かう途中にテント場の前を通り過ぎたが、既に多くの人がテントを張っていた。
この日はテント場も大盛況である。
暫くテントを張れそうな場所を物色したあと、何とか隅っこに一区画、場所を確保。
本日の我が家。
やはり隅っこが落ち着く(笑)。ここなら風も少し遮られるだろう。
右上に山頂が見える。
【PM13:00 蝶ヶ岳ヒュッテ】
テントも設営できたので、蝶ヶ岳ヒュッテに受付に行く。
ヒュッテはコロナ対策でこの日現在も予約の登山者しか泊まれない。
ヒュッテ内に入るときは、マスクの着用と手の消毒が必要だ。
確認したところ、テン泊者の受付は午後2時からということなので
とりあえず、ここで昼食をいただく。
蝶ヶ岳ヒュッテの天津飯。
自炊する食料は持参していたが、やはり少しでも美味しいものが食べたい。
それにここまでの登山で既に腹ペコだ(笑)
宿泊者では無いので、昼食も外で食べるようになっている。
昼食後はテントに戻り、コーヒーを淹れながら寛いでいたが
午後3時をまわるころに、今まで曇っていた空が明るくなってきた。
たまらず外に出ると、槍・穂高の眺望も綺麗に見える。
左から、前穂高・奥穂高・涸沢岳・北穂。大キレットをはさんで槍ヶ岳。
(昨年、一昨年と槍と奥穂を登ったので、自分でもこれぐらいは分かった)
ここからは涸沢カールも良く見える。
今年の涸沢の紅葉はどうなのかな?
涸沢のテント場はきっとすごい混雑になっているに違いない。
一昨年登った槍ヶ岳。
穂高から槍への縦走路も憧れの登山道だが、見るからに険しそう。
蝶ヶ岳からは、眼下に梓川も見えて
自分が登った、上高地から槍ヶ岳・奥穂高岳のルートが見渡せて感慨深い。
ここは本当に素晴らしい展望台である。
北側に目を移すと、そこには常念岳への縦走路が続いている。
真ん中に見える蝶槍までは、なだらかな登山道が見える。
常念岳までのコースタイムは4時間半。
それから三俣まで下山するので、合計で9時間から10時間はかかるだろうか。
明日は、それだけ歩けるか少し心配・・・
【PM17:30】
夕暮れ、穂高方面に日が落ちる。
完全に日が暮れる前にもう一度、蝶ヶ岳の山頂へ。
マスク姿で記念撮影。まさにウィズコロナ時代の新登山様式。
実際に登っているときは、苦しくてとてもマスクなんてつけられる状況に無いが、
山頂や山小屋付近ではマスクをしている人も多かった。
この時、私はただ単にマスクしていると顔があったかいからしていました(笑)
テント場に戻る頃には、日も落ちて
それぞれのテントに灯りがともる。
晩飯は簡単に、コンビニの塩むすびに温かいスープとウインナー焼き焼き。
夜はかなり冷え込んだ。明日に備えて、夜8時には就寝。
ところが、夜中12時に目が覚めると、首が痛くて仕方がない・・・
朝から調子悪かったのが夜中の寒さと、合わないエア枕のせいで悪化したのか?
おまけに頭痛までしてきて、なかなか寝付けない。
この時点で、完全に「撤退」の2文字が頭に浮かんできた。
この日は綺麗な満月、安曇野の夜景も綺麗に見える。
「明日のことは、明日起きてから考えよう」
蝶ヶ岳山頂(2677m)と蝶ヶ岳ヒュッテ
蝶ヶ岳は飛騨山脈(北アルプス)にある標高2677mの山。
常念山脈の稜線上で常念岳の南にあり、山体すべてが長野県に属する。
山体はなだらかで、高山植物の宝庫であり、蝶ヶ池・妖精の池などの湖沼も点在する。
春先になると安曇野側の山肌に蝶の雪形が現れることから、蝶ヶ岳と呼ばれるようになった。
登山道は奥上高地と安曇野方面から登ることができ、北アルプスの中では登りやすく
頂上からは槍穂高から後立山まで一望できるので、登山者に人気の山となっている
(引用文)
【2日目】
昨晩は、寒さと首の痛さでしばらく寝付けなかったが
常備していた頭痛薬を飲んで、再び眠りにつく。翌朝は午前4時の起床。
テントの外は風が強く、目覚ましが鳴るより早くテントのバタつく音で目が覚めた。
【AM5:00 山頂付近】
朝起きると、昨晩の頭痛はすっかり治っていた。首はまだ痛い。
今日、常念岳に向かうにはコースタイム的に朝6時には出発する予定にしていた。
常念岳にむかうことが出来るか、テントを出て常念岳の方角を確認しにきた。
天気はまずまずのようだが、とにかく風が強い。そして寒い・・・
天気予報は曇りの予報だが、昨日ヒュッテでテントの受付をしている時に山小屋の人に言われていた。
「明日は常念に向かわれるんですね、明日の天気は荒れ模様で雪の降る可能性もあります。お気をつけて行ってきてください」
首の痛さと、朝の寒さ、山小屋のスタッフの忠告で心が折れていた・・・
「今日は常念に向かわずに下山しよう。。。」
この日は槍・穂高にも雲がかかっている。天気もこれ以上良くなることは無いだろう。
「こんな天気に辛い思いをして縦走するなんて、まっぴら御免だ」
単独ソロなので、ここらへんの決断は早い。
【AM5:40】
常念行きをやめたので、急いでテントを撤収する必要もなくなった。
ヒュッテ横のベンチで御来光を待ってみる。
皆さんカメラを構えて待っているが雲が厚く、この日の御来光は拝むことが出来なかった。
とりあえずテントに戻って、朝食をとる。
まわりのテン泊の人は、すでに撤収に掛かっていた。
「このまま帰るのは惜しい。。。」
【AM6:30】
テントから覗くと、常念岳への縦走路もまだ視界が開けている。
「とりあえず蝶槍まで行ってみるか。」
そうと決まれば、サブザックに水筒と行動食だけ詰めて、蝶槍に向かう。
横尾へ下りる分岐。ここから上高地へと降りられる。
上高地にも寄りたいけど、車は三股に置いてあるので今回はこちらへの下山は使えない。
蝶槍への道はなだらかだが、稜線だけに風が強い。
歩いているうちにどんどんとガスも濃くなる。
ガスの先に蝶槍が見えた。
「蝶槍」というだけあって、下から見ると鋭く尖っている。
(実際は少し出っ張っているだけで、大した高低差は無い)
【AM7:00 蝶槍 到着】
ヒュッテから1.6km。30分ほどで到着。
ここまでなら楽勝だ。
蝶槍から先、常念岳までの縦走路がガスの切れ間から見える。
縦走路はここから一気に下って、樹林帯の中を通過した後、最後に常念への登りが待っている。
(ここから先が長くて辛いと、他の登山者の方が言っておられました)
と言うことで、
蝶槍、登頂!
常念まで行けなかったので、一応ポーズはとっておく(笑)
岩にペイントしている「TOP」の文字が粋ですね。
朝から様子を伺っていたが、実際に蝶ヶ岳から常念に向かう人の数は極端に少なかった。
蝶槍に居る間も、あとから来た若者のパーティーが登山アプリと天気予報とにらめっこしたあと蝶ヶ岳へと引き返していった。
「根性なしアラフィフ親父の判断としては正解か。。。」
そう心の中で思って、大人しく蝶槍をあとにする。
【AM8:40】
テント場まで帰ってくると、あれだけ賑わっていたテントはほとんど撤収され閑散としている。
「宴のあとの寂しさかな・・・」
私もテントを撤収して、下山にとりかかる。
三股までの下山のコースタイムは3時間半ほど、今さら焦る必要も無い。
天気も全然もちそうだ。午前9時半に下山開始。
【AM10:40】
下山の途中で、常念岳が見える。
「思ってたより、天気悪くないね」
私と同じく、常念縦走を諦めて下山途中の登山者の方と「やっぱり、常念行けば良かった」と話す。
顔では悔しそうな顔をしながら、実際は安堵していた。
予定通りに朝6時に常念に向かっていれば、この時刻はあの常念への険しい登りに喘いでいるに違いない。
既に下山途中の自分にとっては、悔いが残ると言うより、もはや清々しい(笑)
下山は順調そのもの。下りの階段に多少、膝が笑ってくるもゴールはすぐそこ。
「ゴジラみたいな木」の前で、
お土産の「ゴジさんバッチ」
前常念への分岐にある、警告看板。
三股から前常念への登山道もやはり険しいのかな?
今回の下山も、前回の常念登山もこのルートを通っていないので分からない。
【AM12:50 三股登山口 到着】
下山はほぼコースタイム通りの3時間20分。
登山案内所の掲示には、常念小屋から前常念へのトラバース道が7月18日に開通と書いてあった。(画像・赤丸箇所)
「ここが開通していると、蝶ヶ岳からの縦走でもあまりロス無く常念小屋で補給できるな」次の縦走時に検討してみよう。
私が補給にこだわる理由は、私自身の燃費が悪いからです。
登山で歩いているとすぐに腹が減ってきて、お腹が鳴るんですよね(汗)
無事、駐車場に到着。
自撮りを見返すが、やっぱり腹が出ているな・・・
(今年は昨年の同時期と比べると3キロ増量しています)
「どうりで今年の登山がキツい訳だ。。。」
来年の登山シーズンまでには5キロは落とそう!
帰る途中の“北アルプス牧場”でソフトクリームを頂く。
常念や蝶ヶ岳の登山口からもすぐ近くなので、安曇野に遊びに来た時には
いつもココに寄る。
ここのソフトクリームは本当に美味い! いやマジで
「ダイエットとトレーニングは家に帰ってからだね」(笑)
【編集後記】
今年はコロナ禍の中、今シーズン最初で最後の北アルプス登山となった。
本来なら剱岳や表銀座縦走などの予定もあったが、今回は蝶ヶ岳。
しかも常念岳への縦走もかなわず、不完全燃焼のシーズンとなってしまった。
しかし考えてみると、
こんなコロナウイルスで大変な時期に登山が出来るだけでもありがたい。
北アルプスに限らず、今シーズンの山小屋の営業は制限や自粛を強いられ、
どこの山小屋も予約必須・収容人数の制限・マスク着用などのコロナ対策をして
営業してくれている。
登山者のほうも出来る限りソーシャルディスタンスを保ちながら登山をしていた。
(逆にテント場は少々混雑していたが、テントなので三密にはなっていないかと思う)
蝶ヶ岳は展望も素晴らしく、まずまずの天気に恵まれたので良い登山になった。
行程的には常念縦走を諦めた為に、山頂稜線やテント場でゆっくり出来たのは有意義な時間だった。
常念には無理をすれば行けない事も無かったが、こんな時期にわざわざ無理をする必要も無い。単独登山なので何かあった場合には、少なからず迷惑を掛ける可能性もある。
コロナ禍の中での登山には賛否もあると思うが、ウィズコロナの生活様式として
たまにはアウトドアで綺麗な空気を吸って、自身の免疫力を高める事も大切だと思う。
あとは来シーズンは何の心配もなく、登山が楽しめるようになってくれることを願うばかりだ。
コロナウイルスの猛威もひと段落し、goto トラベルで人々が動き出したので
今シーズン最後の北アルプスに行ってきました。
本当は9月の連休前後に表銀座縦走からの槍ヶ岳登山にも誘われていましたが
家庭の事情でやむなくキャンセルに・・・
登山の強度としてはかなり落ちますが、単独のテント泊で蝶ヶ岳に登ることにしました。
【1日目 前半】
【AM6:40 三俣登山口 第一駐車場】
駐車場には6時に到着したが、第一駐車場は既に満車。
少し下った第二駐車場も埋まりかけていたが、何とか停められた。
晴れ予報の週末なので流石に登山者が多そうだ。
【AM7:20 三俣登山口】
駐車場から20分ほどで、蝶ヶ岳の登山口に到着。
ここで登山届を提出する。
今回の計画は1日目に蝶ヶ岳。2日目は常念岳まで縦走する計画にしていたが、
念のため登山届のエスケープルート欄には
2日目は常念岳を経由せず、三俣に下りる旨を記載した。
登山道はしばらくは沢沿いの道を進む。
天気は曇りだが、暑くもなく寒くもなく、まずまずの登山日和。
この行程で最後の水場。
登山口からここまでわずか20分だが、何だか今日は身体が重い・・・
たしかに9月に地元・四国の剣山に登ってからは、運動も何もしていない。
おまけに四国からの長時間の運転が堪えたのか、首から肩が張って痛い・・・
出だしから体調的に不安だが、力水を飲んで先へ進む。
【AM7:50 ゴジラみたいな木】
登山口から1km。
蝶ヶ岳登山の名物「ゴジラみたいな木」に到着。
どちらかと言うと、ゴジラというより
ジェラシックパークのティラノサウルスっていう風貌。
それでも自然の木の造形と、人が積んだ石だけで恐竜に見えるから不思議。
ちなみに裏側はこんな形になっている。
私的にはマンモスに見えるが、どうでしょうか?(笑)
【AM8:50 まめうち平 到着】
登山口からちょうど1時間半で最初の休憩ポイント、まめうち平に到着。
ここで補給食を摂って、少し休憩。
身体も温まってきたのか、体の調子の悪さも気にならなくなってきた。
登山も中間地点を過ぎた頃に、眺望が開ける。
この辺りから紅葉が進んでいた。
紅葉した木々の間から、常念岳が見えた。
「常念岳まで案外と近いな!」
綺麗な景色に、明日は常念岳まで行く気満々である。
ところが、ここら辺から急に斜度が上がるんですよね・・・
斜度は急だが、登山道はとても整備されている。
登山口から山頂までは、ほぼ全般に階段が設置されていて登りやすい。
しかも、「どんだけ手間掛かっているの?」っていうぐらいの綺麗な階段。
他の登山者達も後ろから、どんどんと登ってくる。
皆さん一様にキツそうだけど、こっちもかなりキツイ・・・
何とか立ち止まらずに前へ歩を進める。
眼下には安曇野の町が見えた。
【AM11:40 大滝山 分岐】
ここまで来ると、視界も開けて気持ちいい。
階段地獄(笑)もやっと終わり、山頂まではもう少しだろう。
完全に稜線に出ると、正面に常念岳が見えた。
【PM12:00 蝶ヶ岳山頂 到着】
蝶ヶ岳山頂 標高2677m
登山口から6.4km。ちょうど4時間半で到着。
蝶ヶ岳も、親に連れられて小学生の時に一度登っているはずだが、
なぜかその時の記憶が全くない。
確かに槍ヶ岳や奥穂高岳などに比べると、山頂はなだらかな丘のような形。
登山道からも全く山容が見えず、常念岳や燕岳のような「これが蝶ヶ岳だ」という特徴が無い。
蝶ヶ岳が、日本百名山どころか三百名山にも数えられていないのは、その為だろうか?
それでも、この蝶ヶ岳が登山者にとって人気があるのは
この眺望があるからだ。
目の前に、穂高連峰と槍ヶ岳が見渡せる。
槍・穂高の展望台として、これほどの場所は無いだろう。
この日はここでテントを張って泊まれる、最高の贅沢。
時刻もまだ、正午をまわったところだ。
「まず、テント張らなきゃね」
蝶ヶ岳ヒュッテ テント場
【1日目 後半】
山頂で記念撮影を終えたあとは早速、テントの設営に取り掛かる。
山頂へ向かう途中にテント場の前を通り過ぎたが、既に多くの人がテントを張っていた。
この日はテント場も大盛況である。
暫くテントを張れそうな場所を物色したあと、何とか隅っこに一区画、場所を確保。
本日の我が家。
やはり隅っこが落ち着く(笑)。ここなら風も少し遮られるだろう。
右上に山頂が見える。
【PM13:00 蝶ヶ岳ヒュッテ】
テントも設営できたので、蝶ヶ岳ヒュッテに受付に行く。
ヒュッテはコロナ対策でこの日現在も予約の登山者しか泊まれない。
ヒュッテ内に入るときは、マスクの着用と手の消毒が必要だ。
確認したところ、テン泊者の受付は午後2時からということなので
とりあえず、ここで昼食をいただく。
蝶ヶ岳ヒュッテの天津飯。
自炊する食料は持参していたが、やはり少しでも美味しいものが食べたい。
それにここまでの登山で既に腹ペコだ(笑)
宿泊者では無いので、昼食も外で食べるようになっている。
昼食後はテントに戻り、コーヒーを淹れながら寛いでいたが
午後3時をまわるころに、今まで曇っていた空が明るくなってきた。
たまらず外に出ると、槍・穂高の眺望も綺麗に見える。
左から、前穂高・奥穂高・涸沢岳・北穂。大キレットをはさんで槍ヶ岳。
(昨年、一昨年と槍と奥穂を登ったので、自分でもこれぐらいは分かった)
ここからは涸沢カールも良く見える。
今年の涸沢の紅葉はどうなのかな?
涸沢のテント場はきっとすごい混雑になっているに違いない。
一昨年登った槍ヶ岳。
穂高から槍への縦走路も憧れの登山道だが、見るからに険しそう。
蝶ヶ岳からは、眼下に梓川も見えて
自分が登った、上高地から槍ヶ岳・奥穂高岳のルートが見渡せて感慨深い。
ここは本当に素晴らしい展望台である。
北側に目を移すと、そこには常念岳への縦走路が続いている。
真ん中に見える蝶槍までは、なだらかな登山道が見える。
常念岳までのコースタイムは4時間半。
それから三俣まで下山するので、合計で9時間から10時間はかかるだろうか。
明日は、それだけ歩けるか少し心配・・・
【PM17:30】
夕暮れ、穂高方面に日が落ちる。
完全に日が暮れる前にもう一度、蝶ヶ岳の山頂へ。
マスク姿で記念撮影。まさにウィズコロナ時代の新登山様式。
実際に登っているときは、苦しくてとてもマスクなんてつけられる状況に無いが、
山頂や山小屋付近ではマスクをしている人も多かった。
この時、私はただ単にマスクしていると顔があったかいからしていました(笑)
テント場に戻る頃には、日も落ちて
それぞれのテントに灯りがともる。
晩飯は簡単に、コンビニの塩むすびに温かいスープとウインナー焼き焼き。
夜はかなり冷え込んだ。明日に備えて、夜8時には就寝。
ところが、夜中12時に目が覚めると、首が痛くて仕方がない・・・
朝から調子悪かったのが夜中の寒さと、合わないエア枕のせいで悪化したのか?
おまけに頭痛までしてきて、なかなか寝付けない。
この時点で、完全に「撤退」の2文字が頭に浮かんできた。
この日は綺麗な満月、安曇野の夜景も綺麗に見える。
「明日のことは、明日起きてから考えよう」
蝶ヶ岳山頂(2677m)と蝶ヶ岳ヒュッテ
蝶ヶ岳は飛騨山脈(北アルプス)にある標高2677mの山。
常念山脈の稜線上で常念岳の南にあり、山体すべてが長野県に属する。
山体はなだらかで、高山植物の宝庫であり、蝶ヶ池・妖精の池などの湖沼も点在する。
春先になると安曇野側の山肌に蝶の雪形が現れることから、蝶ヶ岳と呼ばれるようになった。
登山道は奥上高地と安曇野方面から登ることができ、北アルプスの中では登りやすく
頂上からは槍穂高から後立山まで一望できるので、登山者に人気の山となっている
(引用文)
【2日目】
昨晩は、寒さと首の痛さでしばらく寝付けなかったが
常備していた頭痛薬を飲んで、再び眠りにつく。翌朝は午前4時の起床。
テントの外は風が強く、目覚ましが鳴るより早くテントのバタつく音で目が覚めた。
【AM5:00 山頂付近】
朝起きると、昨晩の頭痛はすっかり治っていた。首はまだ痛い。
今日、常念岳に向かうにはコースタイム的に朝6時には出発する予定にしていた。
常念岳にむかうことが出来るか、テントを出て常念岳の方角を確認しにきた。
天気はまずまずのようだが、とにかく風が強い。そして寒い・・・
天気予報は曇りの予報だが、昨日ヒュッテでテントの受付をしている時に山小屋の人に言われていた。
「明日は常念に向かわれるんですね、明日の天気は荒れ模様で雪の降る可能性もあります。お気をつけて行ってきてください」
首の痛さと、朝の寒さ、山小屋のスタッフの忠告で心が折れていた・・・
「今日は常念に向かわずに下山しよう。。。」
この日は槍・穂高にも雲がかかっている。天気もこれ以上良くなることは無いだろう。
「こんな天気に辛い思いをして縦走するなんて、まっぴら御免だ」
単独ソロなので、ここらへんの決断は早い。
【AM5:40】
常念行きをやめたので、急いでテントを撤収する必要もなくなった。
ヒュッテ横のベンチで御来光を待ってみる。
皆さんカメラを構えて待っているが雲が厚く、この日の御来光は拝むことが出来なかった。
とりあえずテントに戻って、朝食をとる。
まわりのテン泊の人は、すでに撤収に掛かっていた。
「このまま帰るのは惜しい。。。」
【AM6:30】
テントから覗くと、常念岳への縦走路もまだ視界が開けている。
「とりあえず蝶槍まで行ってみるか。」
そうと決まれば、サブザックに水筒と行動食だけ詰めて、蝶槍に向かう。
横尾へ下りる分岐。ここから上高地へと降りられる。
上高地にも寄りたいけど、車は三股に置いてあるので今回はこちらへの下山は使えない。
蝶槍への道はなだらかだが、稜線だけに風が強い。
歩いているうちにどんどんとガスも濃くなる。
ガスの先に蝶槍が見えた。
「蝶槍」というだけあって、下から見ると鋭く尖っている。
(実際は少し出っ張っているだけで、大した高低差は無い)
【AM7:00 蝶槍 到着】
ヒュッテから1.6km。30分ほどで到着。
ここまでなら楽勝だ。
蝶槍から先、常念岳までの縦走路がガスの切れ間から見える。
縦走路はここから一気に下って、樹林帯の中を通過した後、最後に常念への登りが待っている。
(ここから先が長くて辛いと、他の登山者の方が言っておられました)
と言うことで、
蝶槍、登頂!
常念まで行けなかったので、一応ポーズはとっておく(笑)
岩にペイントしている「TOP」の文字が粋ですね。
朝から様子を伺っていたが、実際に蝶ヶ岳から常念に向かう人の数は極端に少なかった。
蝶槍に居る間も、あとから来た若者のパーティーが登山アプリと天気予報とにらめっこしたあと蝶ヶ岳へと引き返していった。
「根性なしアラフィフ親父の判断としては正解か。。。」
そう心の中で思って、大人しく蝶槍をあとにする。
【AM8:40】
テント場まで帰ってくると、あれだけ賑わっていたテントはほとんど撤収され閑散としている。
「宴のあとの寂しさかな・・・」
私もテントを撤収して、下山にとりかかる。
三股までの下山のコースタイムは3時間半ほど、今さら焦る必要も無い。
天気も全然もちそうだ。午前9時半に下山開始。
【AM10:40】
下山の途中で、常念岳が見える。
「思ってたより、天気悪くないね」
私と同じく、常念縦走を諦めて下山途中の登山者の方と「やっぱり、常念行けば良かった」と話す。
顔では悔しそうな顔をしながら、実際は安堵していた。
予定通りに朝6時に常念に向かっていれば、この時刻はあの常念への険しい登りに喘いでいるに違いない。
既に下山途中の自分にとっては、悔いが残ると言うより、もはや清々しい(笑)
下山は順調そのもの。下りの階段に多少、膝が笑ってくるもゴールはすぐそこ。
「ゴジラみたいな木」の前で、
お土産の「ゴジさんバッチ」
前常念への分岐にある、警告看板。
三股から前常念への登山道もやはり険しいのかな?
今回の下山も、前回の常念登山もこのルートを通っていないので分からない。
【AM12:50 三股登山口 到着】
下山はほぼコースタイム通りの3時間20分。
登山案内所の掲示には、常念小屋から前常念へのトラバース道が7月18日に開通と書いてあった。(画像・赤丸箇所)
「ここが開通していると、蝶ヶ岳からの縦走でもあまりロス無く常念小屋で補給できるな」次の縦走時に検討してみよう。
私が補給にこだわる理由は、私自身の燃費が悪いからです。
登山で歩いているとすぐに腹が減ってきて、お腹が鳴るんですよね(汗)
無事、駐車場に到着。
自撮りを見返すが、やっぱり腹が出ているな・・・
(今年は昨年の同時期と比べると3キロ増量しています)
「どうりで今年の登山がキツい訳だ。。。」
来年の登山シーズンまでには5キロは落とそう!
帰る途中の“北アルプス牧場”でソフトクリームを頂く。
常念や蝶ヶ岳の登山口からもすぐ近くなので、安曇野に遊びに来た時には
いつもココに寄る。
ここのソフトクリームは本当に美味い! いやマジで
「ダイエットとトレーニングは家に帰ってからだね」(笑)
【編集後記】
今年はコロナ禍の中、今シーズン最初で最後の北アルプス登山となった。
本来なら剱岳や表銀座縦走などの予定もあったが、今回は蝶ヶ岳。
しかも常念岳への縦走もかなわず、不完全燃焼のシーズンとなってしまった。
しかし考えてみると、
こんなコロナウイルスで大変な時期に登山が出来るだけでもありがたい。
北アルプスに限らず、今シーズンの山小屋の営業は制限や自粛を強いられ、
どこの山小屋も予約必須・収容人数の制限・マスク着用などのコロナ対策をして
営業してくれている。
登山者のほうも出来る限りソーシャルディスタンスを保ちながら登山をしていた。
(逆にテント場は少々混雑していたが、テントなので三密にはなっていないかと思う)
蝶ヶ岳は展望も素晴らしく、まずまずの天気に恵まれたので良い登山になった。
行程的には常念縦走を諦めた為に、山頂稜線やテント場でゆっくり出来たのは有意義な時間だった。
常念には無理をすれば行けない事も無かったが、こんな時期にわざわざ無理をする必要も無い。単独登山なので何かあった場合には、少なからず迷惑を掛ける可能性もある。
コロナ禍の中での登山には賛否もあると思うが、ウィズコロナの生活様式として
たまにはアウトドアで綺麗な空気を吸って、自身の免疫力を高める事も大切だと思う。
あとは来シーズンは何の心配もなく、登山が楽しめるようになってくれることを願うばかりだ。