2017年 常念岳→大天井→燕岳 縦走登山

常念岳→大天井岳→燕岳 北アルプス縦走登山に行ってきました。

この景色を眺めに、北アルプスを縦走してきました。
昨年は燕岳に登り、今年は何処を登ろうかと計画中・・・目標としては
①大天井岳には登る
②テント泊したいなー
③出来れば縦走!
の3点を加味して検討した結果。
1日目 常念岳登頂(テント泊)
2日目 大天井岳登頂(テント泊)
3日目 燕岳登頂→下山
という計画に落ち着いた。
今年の夏は天候が不順で、8月中は晴れの日が少なかったため、
9月に入った平日に仕事の休みを取り、北アルプスにむかった。
【1日目 前半】

【一の沢登山口】
今年も両親の住む安曇野の家をベースキャンプに前泊し
月曜日の朝、父に車で登山口まで送ってもらう。
安曇野の家はこのブログでも何回か登場しているが、燕岳や常念岳の登山口に
車で30分程度と北アルプスを登るには素晴らしい環境にある。

【AM6:50 常念岳登山口】
登山届けを提出して、常念岳に登りはじめる。
ここから常念小屋のある常念乗越まで5.7kmの行程。
常念岳も小学生の頃に2度ほど登ったことがある山なので、
だいたいの感じは覚えている。

【AM7:00 山の神】
登山口からすぐのところに小さな御社があるので、登山の無事を願いお参りする。
昨年久しぶりに北アルプスに登ったが、縦走登山するのは30年ぶり。
しかも今回はテント泊の装備を背負っての初めての登山。
「無事、完歩できるかな~?」
計画と準備は万全だが、体力的にちょっと不安がよぎる・・・

常念岳の登山道は、しばらく森林の中を沢伝いに登っていく。
ときどき横を通る沢の流れが見られる。登っていても沢の音が聞こえてきて心地よい。

何度かこのような丸太橋を渡りながら登っていく。
燕岳と違って、最初の登りは非常に緩やか。
日ごろの運動不足の身体にはありがたい、いい準備運動だ。

【AM8:00 大滝】
ここまで登山開始から1時間、約2km。ソロなので自分のペースで歩く。
先行者は平日にもかかわらず以外と多い。
だいたい5組ぐらいの登山者と抜きつ抜かれつ登ってゆく。
背負う荷の重さもさほど感じられず、ここまで快調。

たまに木々の間から山の稜線が見える。まだどの山が常念なのか分からず。
ただ森の中を進んでいく。

【AM9:10 笠原沢】

登山開始から約2時間。ここに来てやっと眺望が開けてくる。
横を流れていた沢の幅も狭くなり、振り返るとだいぶ登ってきたことが分かる。
ザックを降ろして、景色を見ながら一息つく。
初夏にはこの沢にも雪渓が残っているようだが、9月に入った現在では
残雪も残っていない。
9月に入りだいぶ気温も下がり、この日は薄曇りで登山するには涼しくていい気候。
多少は疲労してきたが、ここまで汗もさほどかかずに調子は良い。
そう、ここまでは・・・

【AM10:00 胸突八丁】

そう、油断して余裕をかましていると痛い目に会う。
“胸突八丁”に到着。
ここから急に斜度があがり、心臓破りの階段がつづく。
傾斜がきつくなると、心拍も大きく跳ね上がる。
ハァハァ・ゼーゼーいいながら、とにかく登るしかない・・・

【AM10:30 最終水場】
身体がしんどくなってきたところで“最終水場”到着。
ここで水の補給と休憩を取る。
ここが最終水場ということは、いままで歩いてきた途中の沢の水も
飲料水として取れたのかな?と少し思った。
ここまでの飲料水としては、500mlのボトル1本と、500mlのプラティパスを
持参していた。

ボトルに水を補給し、一気に飲み干す。冷たくてうまい!
ここまで登山中に水分は取っていたはずだが、急な登りに喉が渇ききっていた。
水分補給の為にいちいちザックを下ろすのが面倒だったのもあるが、
小まめな水分補給は大事だと感じた。
(プラティパスのハイドレーションシステムっていいかもね)
ここではザックを下ろし、補給食と水分を十分にとる。
標識によると、ここから常念小屋まで1kmの距離だ。

【AM10:50 第1ベンチ】 あと800m

【AM11:05 第2ベンチ】 あと500m
わずかあと1kmだが、最終水場からここまでがやたらとキツい・・・
今まであまり感じなかったザックの重さが、急に肩に圧し掛かる。
テント泊の装備を含めたザックの重量は約15キロ。
新調したザックの性能のおかげでここまで来れたのが不思議だったかのように
ザックの重みが肩に食い込み、痛い。
おまけに急な勾配に息が切れてきて、
10歩あるいては喘ぎ、また10歩あるいては立ち止まるの繰り返し・・・
ここでトレッキングポールをしまい両手でザックを後ろ手に支えながら、
何とか一歩ずつ登っていく。
「あ~やっぱり運動不足だな俺・・・」

【AM11:15 第3ベンチ】 あと300m

やっと、常念岳が見えてきた~!
少しテンションが上がって、萎えていた気持ちも復活。

【AM11:30 常念乗越】

“常念乗越”到着!!
やっと常念小屋のある常念乗越に到着した。
ここまで登山口から4時間半ほどかかった。
そして目の前には“槍”が・・・

常念岳山頂への道も・・・
ここを上がれば、今日の目的である常念岳山頂だ。

【常念小屋】
常念乗越にある“常念小屋”
目の前に槍ヶ岳が鎮座する最高のロケーション。
小屋の前は平日にもかかわらず、そこそこの登山客で賑わっている。

山頂に行く前に少しやることがあるので、常念小屋に入る。
今までなら山小屋泊だったが、今回は初のテント泊。
テン場の手続きをしとかなければならない。
と、その前に

【AM11:50 昼飯】
豚丼 「うま~!」
>【1日目 後半】 につづく。。。

常念岳 標高2857m
常念岳は北アルプスの常念山脈にある標高2857mの山で、常念山脈の主峰。
日本百名山のひとつ。安曇野からはその全容が望め、ピラミッド型の端正な山容は
一目瞭然ですぐに見つけられます。
登山口は北アルプス東麓の安曇野からアクセスする一ノ沢と三股の二つが一般的。
常念山脈は槍ヶ岳、穂高連峰の東側に併走して南北に伸びているため、
稜線では常にその展望を楽しむことができます。鎖場や梯子場などの難所は無く、
登山初心者にとって北アルプスの入門登山コースとして最適です。
(引用文)
【1日目 後半】

【PM1:00 常念岳 テン場】
昼飯も食べたし、天気が曇りがちで眺望いまいちだったので
先にテントの設営に入る。テントの受付は常念小屋で一張り1000円也。
テントデビューの最初の地に常念を選んだのはテントサイトが広く設営
しやすそうだったのと
“この展望”

目の前、槍ドーン!
槍ヶ岳から穂高連峰までがきれいに見渡せる。
何も考えずに入口は槍方向にして設営しちゃいました。
(あとあと地面が傾いてて寝にくかったんだけどね・・・)

【PM1:30 常念乗越 出発】
今日の寝床も確保できたし、あとは残されたミッション・常念岳山頂に向かう。
テントを設営してる間に雲がはれて快晴になってきた!
コースタイムはおよそ1時間。テント装備が無くなって軽くなったザックを
背負って登りはじめる。

槍ヶ岳を常に西側に見ながら、岩の多いガレた登山道を登っていく。
登山道は岩だらけだが、登山者が歩くところだけ石の色が変わっていてわかりやすい。
斜度はまあまああるけど、荷物が軽いぶん普通に登っていける。

振り返ると、常念小屋やテン場、自分のテントも見える。
湧き上がってくる雲に少し急かされながらピッチを上げる。
「頂上の展望、晴れてるといいな~」

やっと山頂が見えてくる。

山頂真近。

【PM2:30 常念岳山頂 到着】
常念岳山頂 標高2857m
登山開始から7時間半。昼飯とテント設営を除いたコースタイムは5時間半だった。

頂上からの展望。
午前中の曇り空とは一転、雲は出てるけど十分すぎる青空が広がっていた。
槍も穂高連峰もくっきりと見える。
「重い荷物背負って、ここまで来て良かったな~」



※クリックで拡大

蝶ヶ岳(2677m)への縦走路も見える。
今回の計画には入っていないが、機会があれば行ってみたい。
蝶ヶ岳は過去に1回登っている。
山頂ではボーっと景色を眺めながら、結局は30分以上も滞在していた。

頂上に設置された羅針盤を見ながら、あれは何の山だろうか?
次はどの山登ろうか?などなど

【PM4:00 常念乗越 帰着】
無事、常念岳の登頂が済んで、
常念小屋前のベンチでコーヒーを飲みつつのんびりと・・・
マグカップは去年の燕岳登山の時に燕山荘で買ったカップを持参していた。

【PM5:00 夕食】
あとは特に何もすることは無いので、暗くなる前にとりあえず夕食の準備。
ここで夕食に焼こうと思って、家の冷凍庫に入れておいた肉を忘れてきたことに気づく
「痛恨のミス!・・・」
結局、今日の夕飯メニューは、昼飯にと母が持たせてくれたオニギリと
マジックパスタ・フリーズドライの豚汁、以上!
テント泊での山ごはんはとても質素・・・
美味しい山ごはんを作ろうと思ったら、それなりの食材と下ごしらえが必要。
食材増やすと荷物重くなるし、テント泊初心者の私にはこれで十分かな?
(結局、夜に腹が減ってきてインスタントラーメンも食べるんだけどね)

この日の常念岳テン場のテントは全部で15張りほど。
収容数50張りということなので、この日は広々。
私は一番上段の一番隅っこに設営。
「なんか隅っこって落ち着くもんね」(笑)
夕方にかけてガスが出てきて、気温も下がってきた。
今日はゆっくり眠れるかな?寝袋を取り出して、歯磨き・トイレなどを済ませておく。

【PM8:00 就寝】
外は月夜で明るかった。夜8時には寝袋の中に潜り込む。
疲れているが、特に眠い訳でもなくスマホで音楽を聴きながらのリラックスタイム。
9時くらいに腹が減ってきて眠れず。ラーメンを作って食す。
これがなんともうまい!山でテントの中で食べるラーメン最高ー!
気温が下がってきたので、ラーメンついでに沸かした湯をプラティパスに入れて
湯たんぽがわりにした。
寝袋に放り込んで抱いて寝ると、温かくて心地よい。
この日は風もそれほど強くなかった。10時には眠りについていたと思う。

月夜に照らされる槍を眺めながら、テン場は深い眠りにつく。
明日の天気も晴れ予報。
明朝の御来光と素晴らしい眺望を夢見て
「おやすみなさい」
>【2日目 前半】につづく。。。

常念乗越からの御来光
初めての登山でのテント泊。
キャンプからも遠ざかっていて、テントで寝るのも久しぶり。
多少、風の音と夜の寒さが気になったがそこそこ眠れた。
夜中の3時半。まわりの物音で目を覚ます。
どうやら廻りでテントの撤収を始めているようだ。
眠い目を擦りながら、テントの外に顔を出す。
【2日目 前半】

【AM4:00 起床】
まだ人の目では外は真っ暗。
(カメラの目では微かに明るくなってきていることが分かる)
寝る前に出ていた月は沈んでいて、星がよく見えた。
カメラに写った槍ヶ岳の肩で光る明かりは“槍ヶ岳山荘”の灯りだろう。
山の朝は早い。
早々とテントを撤収した人がヘッデン点けて常念岳山頂を目指していくのが見えた。

【AM5:00】
地平線が明るくなってきた。
寒いし、眠いし、久しぶりにテントで寝たので身体が痛い。
御来光を山頂で拝むために1時間も登りたくない私は常念乗越で御来光を待つ。
そして・・・


【AM5:20】
御来光 キター!
昇った太陽はテントを照らし

また、その向かいの山々を真っ赤に染める

「綺麗だな~・・・」 しばし・・見とれる。

山で迎える久々の御来光、雲海も綺麗だった。
今日の天気はすこぶる良さそう。

素晴らしい山の朝にコーヒーで「乾杯」 with 燕山荘マグカップ
・・・なんて、清清しい朝を満喫していたが、
まわりの人たちはどんどんテントを撤収していなくなって行く。
私はかなり出遅れた。なにが「山の朝は早い」だ(笑)
当初の予定なら2日目の予定はここ常念乗越から大天荘のテン場。
コースタイムは3時間半ほど。2日目はすごく余裕を見た行程にしていた。

朝飯のパンを頬張りながら一人作戦タイム。
実は3日目の天気予報が悪く、最終日は雨の中の山行になる予測。
今日2日目の天候は抜群なので、今日のうちに燕山荘まで行く選択肢も
大いにあるが・・・
「あとは大天荘に着いたときの気分で決めよう」
テントを撤収して、荷物をまとめる。

【AM8:00 横通岳方面に向け出発】
地図によると、常念乗越からは横通岳・東天井岳を経由して大天井岳に至る行程。
横通岳への最初の登りは朝一だけに少し堪えるが、天気も良く気分も良い。
もうひとつテンションがあがることが1つ。
横通岳に向かう途中で“雷鳥”さん発見。

しかも親子

去年の燕岳では見られなかったので、雷鳥さんとも久しぶりの対面。
写真を撮ろうと思って、ゆっくりと近づいていったが全然逃げる素振りも見せない。
日本では特別天然記念物の雷鳥。
これだけ近づいても逃げないのは日本の雷鳥だけで、
この光景を海外の登山者はとても驚くらしい。
これは昔から日本人が山岳信仰の対象として雷鳥を保護し、
現在まで大切に見守ってきた証拠だということだ。
(いい話だが、燕山荘オーナーの話の受け売りです)
最近ではニホンザルの捕食対象になり、その数を減らしているとも聞いた。
3日間の縦走で雷鳥が見れたのはこの時だけだった。
雷鳥にも癒され、縦走路の先を急ぐ。

【AM9:00 横通岳】
手元のGPSナビを見てみると、いつの間にか横通岳(2767m)を通り過ぎていた。
近くで休憩している人に聞いたら、縦走路は横通岳をトラバースしていて
ピークに向かうには整備された登山道ではなく登山者の踏み跡を辿って行くらしい。
もう通り過ぎちゃったので頂上はパスして、先に進むことにした。
「横通し岳(よこどおしだけ)」 名前そのままやん・・・(笑)
今回の登山で楽しみにしていたものの一つ、
常念岳から大天井岳の縦走路。

進行方向左手には槍ヶ岳から穂高連峰、遠くには上高地に注ぐ梓川まで見て取れる。

逆方向には雲海の彼方に富士山まで (with 雷鳥)

しばらくはフラットな山歩(さんぽ)道を、景色を見ながらを楽しく行く。
素晴らしい景色にこの時はザックの重さも忘れている(と思う)
平日で遅いスタートだからかもしれないが登山者もまばらで、
この眺望をほぼ独り占め。
前方に東天井岳への登りが見えた。

【AM10:00 東天井岳付近】
東天井への上りを登り切る。振り返るとここまで歩いてきた縦走路と
昨日登った常念岳の山頂が右奥に見える、ここまで2時間。順調に来た。
と、ここでアクシデント発生。
いい気分で歩いていると、右足に違和感が・・・
右足に故障発生!

歩いていると右足の裏がパカパカと・・・
良く見てみると靴底が剥がれかかっている。
私の足でなく、登山靴に故障が発生してしまいました。
仕方ないので、捻挫や靴擦れ用に持ってきていたテーピングテープで応急処理。
再び歩き出すけど、10分もしないうちに今度は左足の踵がパカパカと・・・

なんか満身創痍。
(自分の足はまったく大丈夫なんです。ただ靴が・・・)
この時点で3日間の全行程のおよそ半分。
「このまま行けるだろうか?」

一抹の不安を感じながらも
大天荘まであと1kmの嬉しい表示。
道中なかなか見えなかった大天荘の姿にやきもきしたけど、ついに歓喜の瞬間。

大天荘が見えた!うしろには大天井岳の姿も。

【AM11:20 大天荘 到着】
2日目の目的地、テント泊する予定の大天荘に到着。
靴の故障を抱えて、このあとどうする・・・?
「とりあえず頂上でしょ」
>【2日目 後半】につづく。。。

大天井岳 標高2922m
大天井岳は北アルプスにある標高2922mの山、常念山脈の最高峰。
中房温泉から合戦尾根を経て槍ヶ岳へ登る表銀座縦走コースと
常念山脈との分岐点の山である。中部山岳国立公園内にあり、
日本二百名山に選定されている。山名は「おてんしょうだけ」。
別の呼び方として「だいてんじょうだけ」、「おおてんじょうだけ」とも呼ばれる。
中房温泉からの表銀座コース及び常念山脈縦走時に登られることが多い。
(引用文)
【2日目 後半】

【AM11:20 大天荘】
出発からおよそ3時間半で大天荘に到着、大天井岳の頂上まではわずか
10分ほどの距離なので休憩せずにそのまま頂上に向かう。
大天荘の脇を通り登っていくとほどなく山頂に到着

【AM11:30 大天井岳山頂 到着】
大天井岳山頂 標高2922m
常念乗越からちょうど3時間半での到着。
大天井岳も小学4年生の頃に1回登っているので、これで35年ぶり2回目の登頂。

ここからみる“槍”も大迫力。小槍まではっきり見える。

頂上からは、ここまで来た道(常念岳~大天井岳)、と・・・

これから行く道(大天井岳~燕岳)が良く見通せる。
今回の縦走のメインである、常念岳~燕岳のルートが見渡せて大満足の眺望。
こうして見ると稜線伝いに続く縦走路はアップダウンも少なく、まさに天空回廊。
「今回、このルート選んで良かった~」と思える瞬間でもある。

頂上では記念写真を撮るなど、およそ20分ほど滞在して大天荘に戻る。

現在の時刻はまだ昼の12時。
当初の予定ではここでテント泊の予定だが、まだまだ時間的にも体力的にも
十分余裕がある。
明日の雨予報を考えて、今日中に燕山荘まで行く事にする。
なにより頂上から見た縦走路を眺めていると、天気の良いうちに歩きたくなってきた。
(故障した登山靴もあとどれくらいもつかわからないし・・・)

そうと決まれば腹ごしらえ。大天荘で「かきあげうどん」を頂く。
うどんはコシがあってツルツルでうまい!
大天荘には他にも「インディアンランチ」や「冷やし中華」などの
人気メニューがあり、どれも美味しそう。
ここでのランチはお勧めですね。
(今思えばインディアンカレーも食べておきゃ良かった・・・)

【PM12:50】
大天荘を出発前に今回泊まる予定だったテン場の確認。
テン場に行くと、一番乗りの山ガールさんが“特等席”にテントを設営中。
目の前が槍・穂高の展望。まわりに遮るものがないぶん素晴らしいロケーション。
山名「おてんしょう」は、神様のいる高いところ「御天所(おてんしょ)」が
其の名の由来。
「ここから見る星空や御来光は、まさに神々の眺めなんだろうな~」
後ろ髪をひかれつつ、燕岳方面にむかう。
大天荘から燕岳方面へは一気に下る。

【PM1:20 切通岩】
今回のルート唯一の鎖場。


左側が切れ落ちているが、さほど高度感も無く。
梯子や鎖の距離も短いので気をつけて渡れば問題ない。
とは言え、いつもより重い荷物を背負っているので慎重に行く。

鎖場を渡り終えホッと一息。
振り返ると大天井山頂に向かう登りが見える。今回のルートは下りだが、
燕岳→大天井岳のルートならば、この上がりを登らないといけない。
どっちかって言うと鎖場よりこの登りのほうが恐怖かも?
梯子の右側の岩に小さく小林喜作のレリーフが写っている。
有名な写真スポットだが、大天井岳からのルートなので見落としてしまった。
小林喜作は人力で槍ヶ岳に至る喜作新道を開設した、
とにかくスゴイ人(・・・らしい)
私の古いのアルバムにもレリーフの前で撮った記念写真が残っている。

あとは、槍ヶ岳と大天井岳を背に燕岳への縦走路を行く。

【PM3:00 大下りの頭】
大天井岳~燕岳縦走路のおよそ中間地点。
燕→大天井なら「大下り」だが、大天井→燕なら「大上がり?」
名前ほど急な登り(下り)でも無い。
しかし朝の出発からここまで既に7時間。休憩を除いた歩行時間も6時間ほど。
いくら稜線の縦走路歩きとは言え、細かいアップダウンが体力を奪っていく。
健脚の人ならともかく、普段から運動不足のメタボな身体にはかなり堪えてくる。
このあたりが疲労感満載で一番キツかった・・・

ここからの道はなだらかなはずだが、雲の先に見える燕山荘がやけに遠い・・・

【PM3:20 蛙岩】
右側の出っ張っているのが蛙岩(げえろいわ)。
「誰が名づけたのか知らないが、カエルには見えないな」

近くにあるこちらの岩が蛙岩という情報もあるけれど、(実際私もそう思っていた)
岩の大きさから言えば、さしづめこちらはウシガエルか?
どちらにせよ、ここまで来れば燕山荘まではあと1.2kmの距離。

燕山荘が見えた!

【PM4:00 燕山荘到着】
ここまで長かった・・・
今日の出発点の常念乗越からここまで8時間。こんなに歩いたのは何年ぶりだろうか。
身体は疲れているが、心地よい達成感。

燕岳も相変わらず綺麗だ。

槍をバックに自撮り。
明日は中房温泉への下山を残すだけなので、ほぼやり切った感が溢れている。

燕山荘テン場。
収容数は30張り。少し狭くて、眺めも常念や大天井のテン場と比べるとイマイチ。
これからテントを張る時間も体力もまだ残っているが、
燕山荘で再度、天気を確認すると今日の夜から雨。明日も雨。
「となると、明日は雨撤収してから濡れて重くなったテントを担いであの急な合戦尾根を下るのか・・・」
(いろいろ言い訳書きましたが、
すでにテントを張る気は無く、すぐに燕山荘に宿泊の受付に入っていきました。)

テント泊の予定で予約はしていなかったが、この日は平日なので問題なく泊まれそう。
宿泊受付も私が一番最後のほうだった。

【PM4:30】
燕山荘の喫茶室でケーキを頂く。
アルコールより甘い物が好きな私。今日の縦走で疲れきった身体に糖分補給。
(だから痩せないんだな・・・)
この日のお部屋。

4畳+板間2畳のスペースに一人。 貸切状態。
まるで旅館の一室。。。
「山小屋、万歳! 燕山荘、最高ー!!」
(これでは、テント担いで登るモチベーションが・・・)
>【3日目】につづく。。。

常念岳→大天井岳→燕岳 無事、縦走完了しました。
今回の縦走も3日目の最終日。
昨晩は燕山荘での一泊、広いスペースにたった一人で快適ではあったものの
広すぎて逆に落ち着かなかったり・・・
夜中には外から聞こえてくる雨音で何度か目を覚ました。
予報は雨と半分あきらめていたけど、出来たら燕岳山頂で御来光を迎えたい。
目覚ましは4時にセットしていた。
【3日目】

【AM5:40 燕岳山頂へむかう】
4時に起きてはみたものの外はやっぱり雨。
燕岳山頂での御来光は諦めたが、燕岳の山頂へは行っておきたい。
朝食は山荘の自炊室で自炊して、小屋泊のお客さんが朝食の間に山頂へ向かう。

いつもなら真ん前に見れる燕岳の山頂がガスっていて何にも見えない。

【6:00 燕岳山頂に到着】
雨なので早歩きで歩いたら20分ほどで山頂に到着。
やはりというか予想通り、眺望ゼロのガスガス・・・、私の他には登山者の姿も無い。
燕岳には何度も登っていて、頂上からの景色も何度も見ているので
失望感はそれほど無い。
大事なのは、常念岳と大天井岳とここ燕岳の山頂を踏んで
今回の縦走登山目標の“三山登頂”のミッションがクリア出来たということ。
記念写真とお賽銭だけして、また早足で燕山荘に戻る。


お約束のメガネ岩とイルカ岩は写真撮っただけ。

一度、燕山荘に戻り荷物をまとめる。売店でおみやげを購入。
“燕山荘・ルートマップバンダナ”
今回縦走した、常念岳~大天井岳~燕岳の常念山脈縦走ルートと
私が小学生の時に縦走した、燕岳~大天井岳~槍ヶ岳の表銀座縦走ルートも
描かれたバンダナ。
燕山荘のおみやげ人気No.1らしい。

【AM8:00 燕山荘出発】
ゆっくりと荷物をまとめて、今日も少し遅めの8時出発。
雨は小降りだが視界は悪い、レインウェアを着てザックカバーを掛けて燕山荘を
あとにする。
テント泊の人たちが雨撤収していた。昨日の夜からずっと雨だったし軟弱な私は
小屋泊で正解。
あとは中房温泉にむけて下山するだけ。

【AM8:30 合戦小屋到着】
ガスは少し晴れてきた。ここはトイレに立ち寄るだけ。
今年の6月に弟家族とここ燕岳に登りに来ていた。
3歳の甥っ子を連れてきていたので、頂上まで登るつもりは無かったが
みんなで合戦小屋まで登った。6月に来たときはここも雪が多く残っていた。

(6月5日 撮影)
こんどはゴールデンウィークぐらいに雪の残る燕岳を登るのもいいかな。
(雪山用の装備まだ持ってないけど)

【AM9:20 第三ベンチ到着】
ちょうど中間地点まで下りて来た。少し休憩。
実は6月5日に登りに来ていたときにここで“熊”に遭遇していた。
この第三ベンチでみんなで休憩しているときに、
「ガサガサガサッ」 と藪から大きな音がしたかと思ったら
いきなり体長1.5mぐらいの熊さんが顔を出した。
(下の写真は今回撮影、もちろん熊は写っていない)

上の写真左側のベンチに座っていると、写真右側の藪の中から熊さん登場。
その距離わずか3m! その瞬間、熊さんと目が合ってマジでビビった・・・
(熊のほうも驚いたのか、すぐ後ろ向いて引き返していったので事無きを得たが)
最近では民家のほうまでも熊が出現するらしく、人と熊の生活圏が曖昧になって
いるようだ。

(6月5日撮影)
「一人で登山する時は熊鈴くらいつけておいたほうがいいかな?」

【AM10:20 第一ベンチ到着】
ここまで下りてくれば、中房温泉の登山口まではあと1km。
時間はたっぷりあるので、ここにある水場に寄った。

ベンチから15mほど下ったところに、山の斜面から水が湧いているところがある。
ここの水は冷たくて美味しい。すごく口当たりが柔らかな水だ。

この登山、最後の力水。
ゴールの中房温泉まではもうすぐだ。

【AM11:20 中房温泉登山口到着】
燕山荘からの下山時間はゆっくりと下りてきたので、3時間20分。
今回の縦走登山もここで終着。
3日間よく歩いたが、怪我や体調を崩すことなく無事にたどり着くことが出来た。

これでようやく重いザックを肩から下ろせる。
荷物を下ろすとなんだか身体に羽が生えたかのように軽い。
帰りは両親に登山口まで車で迎えに来てもらって、楽々帰宅。
安曇野の家のすぐ近くの信州そば屋で祝杯がわりに、そば3杯をいただく。
(だから痩せないんだって・・・笑)

私の登山靴 “メレル・スイッチバック・ゴアテックス”
今回が最後の登山となった。

2日目で右足つま先と左足かかとが剥がれ、
応急処置をしながらも、なんとかもってくれた。
3日目は雨の中でドロドロになりながら、最後の第一ベンチからの下りで
ついには左足つま先と右足かかとも捲くれてきて、最期はこんな姿に。
すでに購入してから8年が経過し、使用頻度が少ない為か劣化も進んでいた。
この登山の前にもメンテはしたが、さすがに寿命を全うされたみたいだ。
「おつかれさま」
【編集後記】

今回の登山は初のテント装備での縦走登山。
天気も初日と2日は良い天気で縦走路からの素晴らしい景色を十二分に楽しめた。
日ごろの運動不足でどれだけ歩けるか心配だったが、無理のないコース選定も良かったと思う。
今回は自分がこの装備の荷物を背負って、どのくらいの時間でどれほど歩けるかが
わかった登山だった。(キツ過ぎず、ユル過ぎずのマイペース登山で)
テント泊は久しぶりだったが、山のテン場でするテン泊は景色もよく最高だった。
ただこれも気象条件が良かっただけで、悪天候にも対応できないとまずいと思った。
(結局2日目は小屋泊だったし)
テント装備の登山は荷物や食料の選定など考えることも多く、計画を練る段階ですでに楽しい。
山小屋が混雑していても一人だけのプライベートな空間が確保できるし、
テントの布一枚を隔てて山や自然の雰囲気を感じられるのは山でのテン泊の何よりの醍醐味。
道具も一通り揃ったし、また次の登山も計画したいと思った。
「次はどの山登ろうかな?」
【参考コースタイム】
1日目 一ノ沢登山口(6:50)→[1時間10分]→大滝ベンチ(8:00)→
[2時間]→胸突八丁(10:00)→[30分]→最終水場(10:30)→
[1時間]→常念乗越(11:30)
[昼食・休憩・テント設営 2時間]
常念乗越(13:30)→[1時間]→常念岳山頂(14:30)
常念岳山頂(15:10)→[50分]→常念乗越(16:00)
常念岳テント場(テント泊)
2日目 常念乗越(8:00)→[1時間]→横通岳(9:00)→[1時間]→
東天井岳(10:00)→[1時間20分]→大天荘(11:20)→
[10分]→大天井岳山頂(11:30)
大天井岳山頂(11:50)→[10分]→大天荘(12:00)
[昼食・休憩 50分]
大天荘(12:50)→[30分]→切通岩(13:20)→[1時間40分]→
大下りの頭(15:00)→[20分]→蛙岩(15:20)→[40分]→
燕山荘(16:00)
燕山荘(小屋泊)
3日目 燕山荘(5:40)→[20分]→燕岳山頂(6:00)
燕岳山頂(6:10)→[20分]→燕山荘(6:30)
燕山荘(8:00)→[30分]→合戦小屋(8:30)→[50分]→
第三ベンチ(9:20)→[1時間]→第一ベンチ(10:20)→[1時間]→
中房温泉登山口(11:20)